夜の王子と魔法の花

夜の王子と魔法の花 (ウィングス文庫)

夜の王子と魔法の花 (ウィングス文庫)

読書感想文風にいきましょう。


異世界ファンタジーといえば十二国記がすんごくおもしろかったんですよ。今頃読んだのか。そう、今頃読んだんですよ。自分で買うのがアレかなぁと思ったので図書館で借りたんですが、こいつは自前で揃えて一切損がない、むしろ得だろーという感じでして。特に 月の影 影の海 のインパクトは凄い。最初の陽子と最後の陽子の差に惚れる。痺れる。私が美少年だったらマジで求婚してますね。


そんなわけで異世界ファンタジーです。まさに中堅どころの仕事といった感じで文章は非常に安牌、ソツなく安心です。さちこの魅力は伝わってくるし、ディーレのとの掛け合いも楽し。が、やはり考えるわけですよ。最初と最後で誰が一番変わりましたか? それはディーレです。半機械の王子、ヒッキーな魔法オタク、黒髪の麗しの子でげす。ということはこれはさちこの物語ではなく、ディーレの物語なのではないのか?


ディーレは何で変わりましたのか。そいつはたぶん、愛ですよ、愛。ラヴ。でも私は愛は信じない。理想論で言いますと、愛は動機であって手段じゃない。だから私は女性にもてない。そこがわからない。王妃は愛しているという。父も愛しているという。でも行動は?なんで私はもてないの? 変態だからかな…*1


わからないことはまだあります。結局のところ、ディーレが王座につかざる得なかった本当の原因は解決してない気がそこはかとなく薄っすらと、しかしながら確実に感じるのです。いわば、眠りの種の花はさちこが摘み取ったけれど根は残ったままな気がします。


が、後半から始まる愛の生活モードはかなり楽しかった。おいおい、ディーレはいわゆるツンデレですね。好物です。

*1:きっとエロゲーのせい